Part 7 Last Landing
 

到着ロビーを出た後まっすぐ展望ホール行きのバス停に向かった。バス停にはスポッターと思われる方がチラホラ。平日のこんな時間にここにいるってことは、なんかとても珍しい機体が飛来するするのかなぁと思いながらバスを待つ。やはり風は強い、そして雲が早く流れている。この風なら屋上の閉鎖もやむを得ないが、ブレとかのことを考えると、写り込みやガラスの色が気になるが、ガラス越しの方が落ち着いて撮影が出来るかもしれないとも思った。やがて到着したバスに乗り込み展望ホールにたどり着く。009Dの到着にはまだ1時間近くあった。受付で状況を聞いてみる。相変わらず屋上は閉鎖中だが、風の状況が変わればオープンするかもしれない。その際は場内アナウンスするとのことだった。館内を一通り巡り撮影場所を探す。離陸を撮る場所はすぐに決まった。スポットから24エンドを見渡せる場所をエントランスホールで見つけた。続いて着陸を撮る場所だ。
着陸のお目当ては連絡橋バックとランディングの瞬間。羽田から電話した時に聞いた場所はすぐに見つかった。カメラをセットし到着機でリハーサルをしてみる。ちょっとガラスの写り込みが入るがフードをガラスに押しつければ何とか気にならない。そしてそこからランディングの瞬間も撮れる。ここしか無いと荷物を置いて場所を確保した。時間は12時40分。2502便の到着予定時刻は13時25分、まだしばらく時間がある。その間に昼食を摂ろうと思ったが、ここを離れて他の人に捕られてしまうと悔しいのでこのまま待つことにした。エアバンドを関西アプローチに合わせる。慣れない空港はどのあたりからの交信なのか、どれくらいで着くのか見当がつかない。ひたすら「JapanAir2502」が聞こえてくる時を待つ。その間、着陸機で念入りにリハーサルをする。カメラの構成は連絡橋バック用がEOS-3+EF70-200F4L、ランディング用がEOS-1D+EF300F4L+Extender2xの2台体制。連絡橋を通過後EOS-3からEOS-1Dへの持ち替えがスムーズに出来るかを重点的に確かめた。ちょうど海上保安庁の建物の影になる時間があるのでその間に持ち替えは出来る。準備完了。そのころ雑音の中から羽田で聞いた声と同じ声で「Kansai Approach JapanAir2502」の交信が飛び込んできた。撮影する最後の着陸シーンがまもなく訪れようとしていた。
ふとまわりを見渡すと、そばにいた人が連絡橋の前と、同じフロアの北側の窓のあたりを行ったり来たりしているのに気づいた。荷物はそのままにそこへ行ってみると、ちょうど着陸機が近づいてくるのが見える場所だった。この場所も捨てがたい。試しにここで撮ってから元に戻って間に合うか実験してみた。カメラはEOS-1D。何の機体かがわかる程度までの大きさくらいなら走って戻れば十分間に合う。しかし大きく写るまで待ってからでは走って戻っても間に合わない。3度ほどタイミングと戻り道を確かめて、十分可能と判断しここからも撮影することに決めた。そうこうしているうちに2502便はアプローチからタワーに引き継がれた。今はどのあたりなのだろう、でもそれほど遠くないはず。とりあえず北側の窓に行ってみる。すると窓の向こうに小さく見慣れた機体が見えた。自分にとってのラストランディングの時がやってきた。
そこで2枚ほど1Dで撮ってから元の場所に戻りEOS-3に持ち替える。まだ機体は見えていない。この時撮影で初めて「緊張」で胸がドキドキするのを感じた。これまでもドキドキすることは何度もあった。でもそれは興奮や意識の高揚にからくるもので、体を硬くするものでは無かった。しかしこの時は一瞬体が硬くなった。機体が視界に飛び込んでくる。水平と機体の配置に気をつけながらシャッターを押す。念願だったシーンの最初で最後のチャンス。感傷に浸ってるヒマは無い。建物の影に入った。素早くカメラを持ち替える。機体を捉えシャッターを押す。ギヤが接地しスモークが上がる、これも関空の名物。しかしその瞬間一瞬AFがずれたような気がした。気にせず撮影を続けた。エンジンが割れ、スポイラーが立つ。やがて009D減速し滑走路を離れゆっくりとスポットに向かっていった。貨物ターミナルをバックに009Dはスポットへ進んでいく。駐機している機体の間に割り込むようにスポットにおさまっていった。2台のカメラを肩から外しイスに腰掛ける。スポットにたたずむJASのロゴを眺めながら。
一瞬ずれたAFが気になったので、モニターで見てみた。その場では小さくてわからなかったが、帰ってから見てみるとスモークの瞬間は少しピントがずれていた。ガラス越しだったせいか、スモークのせいかAIサーボが何かに反応してしまったのだろうか。
ランディングは幕を閉じた。次は撮影する最後の離陸、そしてそれは太陽の光の下での最後の撮影になる。

スポッターさんのお目当て?
ここまで待つと間に合わない
来たっ
痛恨のピンボケ
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