Part 2 Last Summer
 

008Dがいなくなったことを知った翌週、残り1機になってしまった009Dを撮影に城南島へ行った。この日は昼過ぎの千歳往復の後に午後の伊丹便に入るスケジュール。この便は伊丹へのフライトの後、那覇−セントレアに行くので今日はもう羽田には帰ってこない。撮影チャンスは1度のみ。1機になってしまったことをあらためて思い知る。
この日の着陸は16L。城南島上空でサークリングして着陸する。いつものようにレインボーブリッジ、お台場をバックに旋回し機首をこちら側に向けた時、ある異変に気づいた。
「なんじゃこりゃ〜」レドームがこれまでの白でなく、JALの旧塗装ものに交換されていた。まるで灰色のマスクをしているような姿。痛々しかった。見ていて可哀相だった。同時にこんな姿にされてしまうということはJAノLでのRainbow777の位置づけを痛感させられた出来事だった。

やがて梅雨に入った。天気の悪い日は撮影に行く気にならない。まして灰色マスクショックが残っていたのと1機のみという現実に撮影意欲が減退してしまい、6月は1度も撮影に行くことなく過ぎた。また、この時点でこれから夏休みを迎えるので、1ヶ月以上運休になる塗装変更はあり得ない、早くて9月に入ってからと思っていた。
そして7月1日。JAノLの空席案内のページを調べた。2ヶ月前から予約が可能になるので、この日から9月のスケジュールを見ることが出来る。真っ先に調べたのは9/1の羽田−鹿児島線。機材がA300に変更になっていた。これまでの塗装変更と同じパターン。前日の8/31までは「白地に赤のクラスJマークの777(以下、白赤J)」だった。翌日以降も調べてみたところ9月は連日A300になっていた。そして朝の便を数えてみると白赤Jは6便しかなかった。読み通りだった。夏休み期間中は塗装変更などの重整備はまず行われない、キャパの大きい777を夏休み期間中にラインから外すわけはなかった。009Dの塗装変更は9月以降とその時確信した。同時に8月いっぱいはは確定したも同様なので、最後の夏は出来る限り羽田に通おうと決めた。
梅雨明け発表があった7月終わりの日曜日。その日は朝から晴れていた。昼間用事があったが夕方羽田に行こうと決めて、カメラを持って出かけた。その日はRW16L。モノレールを流通センターで途中下車して、駅のそばで撮影してから、羽田のビックバードに着いた。南ウィングのスポットに009Dはたたずんでいた。2ヶ月ぶりの対面。相変わらず灰色マスクなのはWEBで見ていて知っていた。この日はこれから福岡に向かう。カメラの準備をして、デリバリーを聞きながら出発の時を待つ。「TokyoDelivery JapanAir 1733」その声が聞こえた時、胸がときめいた。待っていたコールサインが聞こえた時のこの気持ちはいつも「よしっ」という気持ちにさせてくれる。まだボーディングブリッジが外れたわけではないのに、イスから立ち上がって準備は万端だった。しばらくしてプッシュバックが始まった。カメラを構えた。ターミナルの影に隠れていた機首も見え始めた。相変わらずの灰色マスクに胸が痛んだが構わず撮影を続ける。プッシュバックが終わり、タキシングそして離陸。ひたすらシャッターを押し続けた。緊張と興奮のひととき。そしてカメラを置いた時の爽快感。2ヶ月ぶりに味わったこの感覚はちっとも変わっていなかった。
あと何度Rainbow777を撮影に来れるだろう。両手で足りるだろうか。母数がいくつかわからないが、カウントダウンをこの時始めた。
その週に台風が関東地方をかすめていった。その翌日は台風一過の晴天だった。仕事で郊外に外出した。見事な青空だった。鮮やかな木々の緑と青い空の組み合わせにカメラが欲しくなった。そしてこうした景色はベルビアで撮っておきたいと思った。その時次に撮影に行く時はEOS-3を持っていくことに決めた。デジタルで撮影するようになってから1年近く経つ。初めのうちは併用していたが、3月以降はずっとデジタルだった。フィルムコストがかからない、後で補正が効く、これがデジタルの利点であるが、色の鮮やかさや、コントラストはフィルムにまだまだ及ばない。露出など撮影時の一発勝負になるが、現像が上がるまでの緊張感、ライトボックスを通して見る時間の楽しみ。久しぶりに味わってみたくなった。そして、フィルムという直接目に見える形でRainbow777を残しておきたいと思った。「フィルムで残そうレインボー」。の始まりだった。
8月の盆休みになった。本来なら遠征にでも行きたいところであるが、1機となっては計画して予定を立てることが出来ない。前日になって行くことを決めたとしても、盆休み期間中では思い通りに移動することが出来ないだろう。休みは可能な限り羽田で撮影することにした。休みの前半は天気がパッとしなかったが、後半は好天が続き連日羽田に行った。そうして夏休みが終わった。9月の足音が近づき始めていた。カウントダウンはもう片手で足りるようになってしまっただろうか。

なんじゃこりゃ〜

 

梅雨明け後の日曜日

 

 

フィルムで残そうレインボー
フィルムで残そうレインボー
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